「包茎だと性病にかかりやすい」とよく言われますが、今日は子宮頸がんの原因、「HPV」にかかりやすいかどうか解説したいと思います。
よく、「包茎でもきちんと皮を剥いて洗っていれば大丈夫」などと言われますが、実際にはどうなのか、外国の調査データなども引用してその実態を紹介したいと思います。
子宮頸がんの原因「HPV」とは?
初めにそもそもHPVとは何か、解説したいと思います。
子宮頸がんの原因
HPVとは、「ヒトパピローマウイルス」の略です。
このヒトパピローマウイルスは、女性の子宮頸がんの原因の1つとも言われており、毎年約1万人の女性がかかっていて、死亡者数も約3000人います。
ただし、HPVには150種類以上の「型」があり、すべての型が危険というわけではありません。
子宮頸がんの主な原因と考えられているのは、HPV16型、18型の2つです。
日本の子宮頸がん患者のうち、20代の約90%、30代の約76%でHPV16型、18型の感染が確認されています。
HPVは性交渉で感染する
このHPVは、主に性交渉で感染すると言われています。
つまり女性が子宮頸がんにかかる要因に、男性側が関わっているということです。
ただし、じつはHPVは多くの人が感染しているウイルスです。
女性であれば80%以上、男性は90%以上が一生のうちにかかるとも言われています。
ただ、HPVに感染しても、たいていの場合は自分の免疫力でHPVを消してしまいます。
そのため、子宮頸がんに発展することは少ないのです。
しかし、一部の女性では、HPVが体内の中から消えず、子宮頸がんに進展する場合があります。
そして、子宮頸がんになると死亡リスクが高くなってしまいます。
そのため、注意が必要なウイルスなのです。
包茎だと、HPV感染しやすいの?
そこで大事なのは、元からHPVに感染しないことです。
HPVに感染しなければ、免疫力が落ちていても子宮頸がんには発展しません。
そこで、本日のメインテーマになりますが、よく、「包茎だと性病にかかりやすい」と言われますが、HPVの場合はどうなのでしょうか?
包茎の男性は、HPVに感染しやすいのでしょうか?
包茎男性は、HPVに感染しやすい!?
結論から言うと、包茎の男性はHPVを持っている確率が高いと言われています。
スペイン、コロンビア、ブラジル、タイ、フィリピンで行われた調査データを紹介します。
「HPVは、割礼を受けていない男性847人のうち166人(19.6%)、および割礼を受けた男性292人のうち16人(5.5%)で検出されました。(中略)割礼を受けた男性は割礼を受けていない男性よりもHPV感染する可能性が低かった」
「割礼」とは、要するに包皮の切除、包茎手術をしたという意味です。
つまり、包茎手術をしていない男性847人のうち166人がHPVを検出、包茎手術を受けた男性290人のうち16人がHPVを検出されたということになります。
割礼していない | 割礼している | |
調査対象人数 | 847人 | 290人 |
HPV感染者数 | 166人 | 16人 |
感染率 | 19.6% | 5.5% |
つまり、包茎手術を受けた男性は包茎手術をしていない男性よりも、HPV感染する確率が1/4近く少なかったということです。
包皮を切除した男性と、していない男性でこれだけの大きな差が出ていますので、「包茎の状態はHPVに感染しやすい」という何かしらの因果関係があるのかもしれません。
包茎がHPV感染しやすい2つの理由
包茎の状態がHPVに感染しやすい正確な原因、理由はまだ明確にはなっていません。
しかし、考えられる理由として、主なものは2つあります。
1. 包茎は不衛生になりがちだから
これはよく言われていますが、「包茎は不衛生になりがちだから」というのがあります。
皮に包み込まれた状態ですと、尿や精子の残り、雑菌などが皮の中で溜まって不衛生になります。
真性包茎はもちろんですが、仮性包茎の場合も洗い方が不十分だと不衛生な状態になります。
すると、さまざまな病気などにもかかりやすくなるため、HPVにも感染しやすいのではないかと考えられます。
2. 包茎は包皮が角質化していないから
2つ目の理由としては、「包皮が角質化していないから」ということが挙げられます。
仮性包茎でも真性包茎でも、包皮の内側、つまり亀頭の根元近くの皮というのは皮膚が薄く、粘膜に近い状態になっています。
そのため、バリア機能が不十分で、ウイルスや細菌などが侵入しやすくなっています。
剥けているペニスであれば、皮膚がパンツなどに擦れて角質化して強くなるので、感染リスクは低く抑えられます。
しかし包茎のままだと、包皮の内側は角質化せず、バリア機能が弱いままになってしまうので、病気にもかかりやすいわけです。
「包皮の粘膜の裏地は角質化されておらず、ウイルスに対してより脆弱である可能性があります。(中略) HPVは、微小な潰瘍または小さな上皮性擦過傷を通じて基底細胞へのアクセスを提供される可能性があります。包皮を除去すると、HPVに脆弱な表面積のサイズと性交時の粘膜の外傷の可能性の両方を著しく減少させることにより、ウイルス侵入の可能性を最小限に抑えることができます。割礼された陰茎の亀頭は、角質化した上皮が厚く、擦過傷に対する耐性が高く、HPVの侵入を受けにくくなっています。」
1番目の「不衛生になりがち」という点については、仮性包茎ならちゃんと洗うことである程度防げます。
しかし、こちらの角質化していないという問題については、いくら洗ったところで改善できませんので、仮性包茎でも注意が必要です。
それに、洗いすぎると逆に体に必要な菌などもなくなりますし、炎症を起こしやすくなるので、必要以上に洗うのはやめてください。
女性をHPVに感染させないための3つの対策
それでは、あなたの大事な女性パートナーをHPVのリスクにさらさないために、どのような対策をしたら良いか紹介します。
清潔にする
まず1番大事なのは、当たり前ですがペニスをきれいにしておくということです。
先ほど言ったとおり、洗いすぎはだめですが、不衛生なのはもっとだめです。
毎日ちゃんと皮を剥いて洗うことが大事です。
また、調査データにもあったとおり、包茎手術をした人でも5%近くはHPV感染をしています。
ですので、「オレは包茎じゃないから大丈夫」といって安心せずに、包茎でない人も清潔を保ちましょう。
包茎手術をする
そして、包茎の場合は包茎手術も検討してみると良いでしょう。
手軽にできることではありませんが、包茎手術は1度受けてしまえば、後はその恩恵をずっと受けることができます。
また、上述したとおり、ペニスを清潔にしているだけでは感染リスクを抑えることができません。
被っている内側の皮膚は角質化していないので、いくらきれいに洗っていてもウイルスや菌が侵入しやすく、HPVの感染確率が高くなります。
包茎手術をしてしまえば、そういったリスクを下げられますし、いろいろな面でメリットがあるので、もし包茎の場合は検討してみると良いでしょう。
コンドームをつかう
また、コンドームを使うことで女性への感染リスクを下げることができます。
HPVは口などからも感染するので、コンドームで100%感染が防げるわけでありません。
しかし、確率を大幅に下げられますし、望まない妊娠を避けられます。
女性のことを大事に思うなら、常に使ってあげることが大事です。
今回のまとめ
以上で今日の記事は終わりです。
子宮頸がん、HPVのことや包茎がHPVに感染しやすいことなど、いろいろわかっていただけたと思います。
最後に今日の記事をまとめておきますね。
- 不衛生になりやすいから
- 包皮の内側が角質化せず、バリア機能が弱いから
※確証はないため、あくまで推定される理由
- 清潔にする
- 包茎手術をする
- コンドームを使う